通信で司書資格をとろう【近畿大学・レポート編】

こんにちは、タロです。

今回は、近畿大学通信教育部の図書館司書コース体験談【レポート編】です。

この記事では、私が実際に作成したレポートの構成や使用した参考文献、いただいた講評などを簡単にご紹介します。

レポート・試験にける剽窃(盗用)行為禁止について

2021年8月25日、近畿大学通信教育部のポータルサイトでは、上記タイトルの注意喚起が発信されていました。

剽窃を行ったレポート・試験と判明した場合、合格にはならないと明記されています。

ここでレポートの全文をご紹介していないのもそのためです。

レポートは自分の学習成果を表現するものだそうです。

ご自身の考え方、書き方に自信をもって作成し、提出することをおすすめします。

私の経験が皆さまのレポート作成の足がかりとなれば幸いです。

レポート作成例

科目名をクリックすると飛べるようになっています☟

図書館概論[2019/04/01-2021/03/31]

設題

公共図書館を1つ選び、レポートを作成しなさい。以下について記入すること。

  • 図書館の正式名称と所在地
  • 立地、予算、蔵書数、年間増加数、貸出数、業務別職員数、収容座席数
  • 図書館サービスの種類と内容
  • 見学先の図書館に期待すること、改良すべき点、全体の感想等

地元の公共図書館に電話でインタビューの依頼をしました。

近畿大学で司書資格を取得するためにレポートを作成している旨を伝え、日時を調整していただきました。

調査したいことは、事前に電話でお伝えしておくとスムーズです。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.基本情報について

  ・名称

  ・所在地

  ・立地

  ・開館時間

  ・休館日

3.規模について

  ・予算

  ・蔵書数

  ・貸出数

  ・業務別職員数

  ・収容座席数

4.サービスと内容について

  ・資料の貸出

  ・資料の予約

  ・インターネットの利用

  ・視聴覚コーナーの利用

  ・コピーサービス

  ・古文書

  ・団体貸出

  ・学習・閲覧

  ・電子資料

  ・対象者別サービス(拡大鏡、絵本の読み聞かせ)

5.おわりに

  ・見学先の図書館の特色や期待すること

1回目で合格となりましたが、以下の講評をいただきました。

〇〇市民として、〇〇図書館について、乳幼児、児童、ヤングアダルト、高齢者、障がい者、できれば在日外国人向けの内容についても詳述下さると大変参考になります。利用者として、お気づきの事柄について、館当局に対して大いに要望し、さらなる発展を期してはいかがでしょうか?

対象別サービスに関する記述が少なすぎたようです。

生涯学習概論 [2019/04/01-2021/03/31]

設題

ラングランの生涯教育的思想とリカレント教育の思想の社会的背景について考えてください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.ラングランの生涯教育的思想の社会的背景

  ・ラングランの生涯教育の思想の定義について

  ・その社会的背景について

3.リカレント教育の思想の社会的背景

  ・リカレント教育の思想の定義について

  ・その社会的背景について

4.おわりに

  ・自分の考え

<参考文献>

香川正弘他『よくわかる生涯学習』ミネルヴァ書房,2016.

1回目は不合格。講評は以下の通りです。

このレポートの設題は、「ラングランの生涯教育的思想とその社会的背景について」「リカレント教育の思想とその社会的背景について」の二つあります。最初の設題は、ポール・ラングランの生涯教育の思想とその社会的背景について詳しく述べることです。

二つ目の設題は、最近ではとても注目されているリカレント教育についてですが、リカレント教育の思想とその社会的な背景について詳しく述べることです。社会的背景についてもっと詳しく述べてください。テキストではあまり詳しく述べていないので、ネットや参考文献なども活用してください。

生涯学習として図書館の役割がますます重要になってきています。そういう意味で、生涯学習概論が図書館学の科目に含まれていると言えます。

2回目の提出では合格をもらえましたが、リカレント教育の社会的背景についてもう一歩だっだようです。

二つ目の設題は前回指摘した内容が改善されていますが、もう少し詳しく述べるとよかったですね。海外の事例などを述べるとよかったですね。

これで合格です。今後も精進して頑張ってください。

図書館情報資源概論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

公共図書館が地域資料を収集するのはなぜかを考え、地域資料の特性と今日の課題としての地域資料のデジタルアーカイブ化について論じなさい。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.地域資料とデジタルアーカイブ化について

 (1)地域資料を収集する根拠

 (2)地域資料の特性

 (3)地域資料のデジタルアーカイブ化の方向性

3.おわりに

  ・自分の考え

<参考文献>

デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会・実務者協議会「我が国におけるデジタルアーカイブ推進の方向性」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_kyougikai/houkokusyo.pdf(令和3年4月30日参照)
時実象一『デジタル・アーカイブの最前線』講談社,2015.
岸田和明ほか『改訂 図書館情報資源概論』樹村房,2020.
馬場俊明『図書館情報資源概論 新訂版』日本図書館協会,2018.

1回目で合格となりましたが、講評はいただけませんでした。

図書館サービス概論 [2019/04/01-2021/03/31]

設題

身近な公共図書館(都道府県立より、市町村立が望ましい)を観察し、このテキストに書いてあることと比較しつつ、その図書館の特徴を述べ、またあなたの具体的で実現可能な希望を列挙してください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.〇〇図書館について

 (1)基本情報

 (2)基本的なサービス

   ①閲覧

   ②利用案内

   ③貸出制度

   ④複写サービス

   ⑤リクエストサービス

   ⑥視聴覚サービス

   ⑦レファレンスサービス

   ⑧文化・集会活動

 (3)対象別サービス

   ①児童サービス

   ②ヤングアダルトサービス

   ③高齢者サービス・障がい者サービス

3.おわりに

  ・具体的で実現可能な希望

<参考文献>

〇〇図書館 http://www.~(2020年12月19日参照)

『日本の図書館 統計と名簿 2019』日本図書館協会,2020.(再提出時に追加)

1回目は不合格。講評は以下の通りです。

市全体のサービスが充実しているか「市民一人当たりの蔵書数・貸出数」などを近隣市や平均などと比べて評価してください。

指摘事項をクリアするために必須だった参考文献がこちら☟

必須 参考文献

日本の図書館 統計と名簿 2019』日本図書館協会,2020.

地元の図書館に蔵書がなかったため、見て見ぬふりしていましたが、やはり必要でした。

具体的な数字の比較を加えて再提出したら、見事合格。2回目の講評は以下の通りです。

改善点がよく反映しています。

ご希望が実現するよう、働きかけてみてください。

図書館情報技術論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

図書館を最大限に活用するため、または利用を円滑にするためにはどういった情報技術に着目し、理解を深めるべきか。自身の意見を含めて論じてください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.図書館利用と情報技術について

  ・OPACについて

  ・デジタルレファレンスサービスについて

  ・自動貸出機について

  ・ICタグについて

3.おわりに

  ・自身の意見

<参考文献>

河島茂生『図書館情報技術論 図書館を駆動する情報装置』ミネルヴァ書房,2013.

1回目で合格となりましたが、以下の講評をいただきました。

2章内、挙げられた情報技術ごとに節や項を設けるとより伝わりやすいものになります。

内容に関してはレポート作成者にとって「図書館を最大限に活用する、または利用を円滑にするとはどういうことか」という定義づけはされていませんが、設題に対する回答は見受けられます。

レポート作成者自身の意見も終盤に少量ながら見受けられます。

定義づけが必要だったようです。

参考文献の『図書館情報技術論 図書館を駆動する情報装置』は興味深い内容でサクサク読めました。

図書館制度・経営論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

組織作りの諸原則の5項目を取りあげ、それぞれについて述べるとともに、図書館法第3条(図書館奉仕)に掲げられている九つの事項の学びから、これらを実現するためにはどのような図書館組織の構築が望ましいか、貴方自身の考え方を含め論じてください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.組織作りの諸原則について

  ①スカラーの原則

  ②専門化の原則

  ③命令一元化の原則

  ④管理範囲の原則

  ⑤権限委譲の原則

3.図書館法第3条(図書館奉仕)について

4.おわりに

  ・望ましい図書館組織の構築について

<参考文献>

永田治樹『図書館制度・経営論』日本図書館協会,2016.

1回目で合格となりましたが、以下の講評をいただきました。

学習・理解はできています。後者の柱が弱目になっているのが残念です。また、巻末の参考文献から効果的な引用文を入れるなど、引用文献としての活用があるともっと良くなったと思います。

内容のバランスも重要のようです。

情報サービス論 [2019/04/01-2021/03/31]

設題

レファレンスサービスの理論の歩みを簡潔明瞭に記した後、その理論と今日のレファレンスサービスと利用指導(教育機関→図書館利用教育、公共図書館→情報活用能力の育成)の関連を述べ、これからの利用指導はどうあるべきか、貴方自身の考え方を含め論じてください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.レファレンスサービスの理論の歩み

  ・レファレンスサービスの起点について

  ・保守理論と自由理論

3.今日のレファレンスサービスと利用指導の関連について

  ・情報提供機能と利用指導機能

  ・図書館利用教育

4.おわりに

  ・これからの利用指導について

<参考文献>

日本図書館協会図書館利用教育委員会『図書館利用教育ガイドライン(合冊版)』日本図書館協会,2001.
日本図書館協会図書館利用教育委員会『情報リテラシー教育の実践:すべての図書館で利用教育を』日本図書館協会,2010.
小田光宏『情報サービス論(JLA図書館情報学テキストシリーズⅢ5)』日本図書館協会,2012.

1回目で合格でした。以下の講評をいただきました。

良いレポートの一つです。論述内容、参考文献の活用も高く評価できます。

初めて褒められたので嬉しかったことを覚えています。

児童サービス論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

1.図書館における直接(的)サービスと間接(的)サービスの意義と方法について述べなさい。
2.図書館におけるヤングアダルト・サービスの意義と実践方法について述べなさい。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.児童サービスの直接サービスと間接サービスについて

  ・直接サービスについて

  ・間接サービスについて

3.ヤングアダルト・サービスについて

  ・ヤングアダルトの定義や特徴

  ・ヤングアダルトサービスの意義

  ・ヤングアダルトサービスの実践方法

4.おわりに

  ・自分の考え

<参考文献>

堀川照代編『児童サービス論』日本図書館協会, 2020.

1回目は不合格。講評は以下の通りです。

このレポートには2つの設題があります。

最初の設題は直接サービスの意義と方法、間接サービスの意義と方法について述べることです。ここでは直接サービスと間接サービスの意義についてもっと詳しく述べてください。参考までに、テキストではあまり詳しく述べていないので、ネットで「テクニカルサービス」と「パブリックサービス」などを参照してください。または、近畿大学「図書館サービス概論」のテキスト(p.22-p.24)を参考にしてください(ここではレファレンスサービスについての直接サービス、間接サービスについて述べていますが)。

二つ目の設題はヤングアダルト・サービスの意義と方法について述べることです。ヤングアダルト・サービスは図書館によっても取り組みの温度差はありますが、とても重要なサービスと言えます。ここはこれでよいです。要点を押さえています。

ご指導いただいた通り「図書館サービス概論」のテキストを参考に、直接サービスと間接サービスの意義について加え再提出したところ、見事合格。2回目の講評は以下の通りです。

最初の設題は前回指摘した内容が改善されています。これでよいです。これら二つのサービスはお互いに補完しあう関係にあります。間接サービスが充実して初めて、直接サービスが生かされます。

これで合格です。今後も精進して頑張ってください。

情報資源組織論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

指定したキーワードをすべて使って、各設問の解答を完成させてください。
1.現在、多くの公共図書館や大学図書館で、外部の書誌データを利用した目録作成業務が行われています。集中目録作業と分担目録作業(=共同目録作業)、それぞれの特徴(意味や役割、課題など)を明確にし、さらに今後の目録作成業務のあり方について自らの見解をまとめてください。(1,000字)
<キーワード:MARC、集中目録作業、分担目録作業、総合目録、書誌ユーティリティ>
2.地域の図書館(公共図書館)での現地調査もしくは調査対象館のHPの蔵書検索により、「蔵書の所在記号(背ラベル)の付与のしかた」について複数ケースを洗い出し、気づいたことをまとめてください。さらに、調査で得た内容や関連情報をもとに、書架分類と書誌分類という二つの点から、NDCの分類(記号)を活用することの意義や課題について考察してください。尚、調査対象館は“NDCを採用する近隣の公共図書館”で、取り扱う情報資源は“紙資料”とする。(1,000字)
<キーワード:書架分類、書誌分類、目録、配架(テキストでは排架を使用)、所在記号>

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。レポートの入力は設題ごとに分かれていました。

設題1

1.はじめに

2.集中目録作業と分担目録作業の特徴について

3.おわりに

  ・今後の目録作成業務のあり方について自らの見解

<参考文献>

那須雅煕,蟹瀬智弘『第3版 情報資源組織論及び演習』学分社, 2020.
日本図書館協会『図書館用語集 四訂版』日本図書館協会,2013.

設題2

1.はじめに

2.〇〇図書館の所在記号について

  ①調査対象館 

  ②調査の方法

  ③具体例としての所在記号

  ④気づいたこと

3.おわりに

  ・NDCの分類を活用することの意義や課題についての考察

<参考文献>

那須雅煕,蟹瀬智弘『第3版 情報資源組織論及び演習』学文社, 2020.
日本図書館協会『図書館用語集』日本図書館協会, 2013.

1回目で合格でした。講評は以下の通りです。

よく書けています。

嬉しい限りです。

図書・図書館史 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

日本または西洋のどちらかを選び、それぞれの時代(古代、中世、近世、近代以降)の図書館発展の特徴をコンパクトに要約し、かつ私見(400字程度のまとめ)を述べてください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.古代

3.中世

4.近世

5.近代以降

6.おわりに

  ・私見

<参考文献>

佃一可編『図書・図書館史』樹村房,2012.
三浦太郎編著『図書・図書館史』ミネルヴァ書房,2019.

1回目で合格となりましたが、以下の講評をいただきました。

提出お疲れ様です。
設題のポイントをしっかり押さえ、日本の図書館史を大変分かりやすくまとめられています。特に初期の図書館が限られた特権階級のためのものから、現代の誰でも自由に使えるものに変化してきたことを理解している内容であり秀逸でした。欲を言うと『中小レポート』『市民の図書館』などに言及して欲しかったです。後半の私見は納得できる内容でした。戦争に勝った場合は・・・どうだったでしょうか汗。
引き続き頑張ってください。

近代以降については、『中小レポート』までまとめた方が良さそうです。

生徒に寄り添った講評に、心がほんわか温かくなりました。

図書館情報資源特論 [2021/04/01-2023/03/31]

設題

灰色文献とはなにか、灰色文献の定義や意義、特性について記述してください。また、灰色文献と言われる具体的な資料名を挙げて、その資料の特徴についても説明してください。

私が作成したレポートの構成は以下の通りです。

1.はじめに

2.灰色文献とは

 (1)定義

 (2)意義

 (3)特性

 (4)具体的な資料例

    ①テクニカルレポート

    ②会議録

    ③学位論文

    ④政府刊行物で市販しないもの

3.おわりに

  ・自分の考え

<参考文献>

日本図書館情報学会用語辞典編集委員会『図書館情報学用語辞典 第5版』丸善出版,2020.
宮沢厚雄著『図書館情報資源概論(改訂版)』理想社,2012.
山本順一編著『情報の特性と利用ー図書館情報資源概論ー』創成社,2012.
池田貴儀著「インターネット時代の灰色文献 灰色文献の定義の変容とピサ宣言を中心に」『情報管理』2015,vol.58,no.3,p.193-203,https://doi.org/10.1241/johokanri.58.193.(2021年6月7日参照)

1回目で合格となりましたが、講評はいただけませんでした。

以上、【レポート編】でした。少しでもお役に立てれば幸いです。

貴重なお時間を頂きまして、誠にありがとうございました。

またどうぞ、おいでください。

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