【書籍紹介】脱タイムマネジメント!『限りある時間の使い方』

書籍紹介 限りある時間の使い方 オリバー・バークマン 

こんにちは、タロです。

皆さんは時間に対してどのような考えをお持ちですか?

私は、何もしない時間があるとそわそわしてしまうタイプです。

何かしないと!

有意義に過ごさないと!

そんな気持ちになり1人で焦ってしまいます。

そんな時に出逢ったのがこの一冊☟

近所のTSUTAYAに併設されたタリーズコーヒーでは、購入前の本を1冊持ち込めるようになっています。

そこで、約1時間読んだのですが、そのまま返すのが惜しくて、私にしてはめずらしくその場で購入しました。

それくらい衝撃を受けたというか、じっくり読みたいと思えた本だったので、今回ご紹介させていただきます。

  • 時間に追われるのがつらい!
  • 時間を有効活用したい!

そんな方のお役に立てれば幸いです。

人生=時間の使い方そのもの:『限りある時間の使い方』著者:オリバー・バークマン

生産性とは、罠なのだ。

『限りある時間の使い方』より引用

本のソデに書かれたこの一言。

生産性を高めるために時間の使い方を学ぶと思っていた私にとって、衝撃的な一言でした。

ページをめくると、さらにドキリとする文字が目に飛び込んできました。

80歳まで生きるとして、あなたの人生は、たった4000週間だ。

『限りある時間の使い方』より引用

え、それしかないの?

運良く90歳まで生きたとしても、4700週間くらいだそうです。

もっと長い時間だと思っていたのに。

思っていた以上に自分に与えられた時間は短いのだと知りました。

その現実を直視した瞬間、この本から目が離せなくなったのです。

なぜ、いつも時間に追われるのか?:刷り込まれた先入観

限りある時間の使い方

中世初期、時計のない時代は、「時間というもの」が存在しなかったと著者は言います。

時間が存在しないなんて考えられませんよね。

でも、確かに時計がない時代はありました。

中世初期の農民は、どんなに忙しい時期でも時間に追われ悩むことはなかったようです。

農民の仕事には終わりはない。次の日になれば乳を搾り、次の収穫期が来れば収穫する。だから、すべて完了したという状態はありえないし、ゴールを決めて競争する意味もない。歴史家はそんな生活様式を「タスク中心型」と呼ぶ。抽象的な時間軸ではなく、タスクそのものが有機的に生活のリズムを生みだすからだ。

『限りある時間の使い方』より引用

そんな生活から現代のような時間に管理された生活に変化したきっかけはなんだったのでしょうか。

それは、中世の僧侶たちが、皆で一斉にお祈りできるように、時計をつくって時間を測ったのが始まりのようです。

確かに、複数人で何かをするとなれば、みんながわかる明確な基準が必要ですもんね。

時間は標準化され、可視化された。すると人々は、時間をなにか抽象的なもの、仕事や活動とは切り離して測定できるものとして捉えるようになった。

 時計の針が刻むもの。それこそが「時間」になったのだ。

『限りある時間の使い方』より引用

時計の発明により、生活そのものであった時間が、生活と切り離されて考えられるようになったんですね。

そして、現在のような人間と時間の格闘が始まったのは、産業革命だと著者は言います。

労働者を管理するため、労働時間に値段がつけられるようになり、人は時間の使い方のプレッシャーに苛まれます。

時間はどんどん生活から切り離され、「使う」ことができるモノになった。

『限りある時間の使い方』より引用

時間が“資源”化することによって、利益を生まない時間が許されない状況に追い込まれていったんですね。

やることを減らすのではなく、時間の使い方を改善してタスクをこなそうという思考が刷り込まれていきます。

そうやって時間の有効活用ばかりを考えていると、人生は想像上の未来に描き込まれた設計図となり、ものごとが思い通りに進まないと強い不安を感じるようになる。そして時間をうまく使えるかどうかが、自分という人間の価値に直結してくる。

『限りある時間の使い方』より引用

まさに、私たちが時間に追われると感じる要因は、ここにあるのではないでしょうか。

時間を有効活用できないと落ち込み、もっと頑張らないとと自分を追い込む。

やってもやっても満たされない、終わりなき闘い。

僕たちは時間をあるがままに体験すること(時間であること、といってもいい)をやめて、「今」という時間を未来のゴールにたどり着くための手段に変えてしまった

『限りある時間の使い方』より引用

「今」に意識を集中できないのも、これまでに刷り込まれた“時間”に対する考え方が原因かもしれません。

これでは、あっという間に4,000週間を使い果たしてしまいそうですね。

時間を支配しようとする者は、結局は時間に支配されてしまうのだ。

『限りある時間の使い方』より引用

脱タイムマネジメント!時間に苦しめられない方法

限りある時間の使い方

時間の使い方と聞くと、タイムマネジメントを連想する方が多いのではないでしょうか。

私も当書を手に取った際、タイムマネジメントのノウハウが書かれていると思っていました。

しかし、当書が主張するのは脱タイムマネジメント

これまでのタイムマネジメント術は失敗だらけ、そろそろ見切りをつけたほうがいいと著者は言います。

世の中にあふれるタイムマネジメントの本のほとんどは、人生がものすごく短いという事実さえも認めようとしない。タイムマネジメントさえすれば何でもこなせるという幻想を振りまいているだけだ。

『限りある時間の使い方』より引用

たしかに、タイムマネジメントさえできれば、すべて上手くいくと信じこんでいた自分がいました。

もっと効率的にやればこの苦しみから逃れられるのではないか、と信じて疑いませんでした。

そして、下記の1文がグサッと心に刺さりました。

僕がいいたいのは、みんな何らかの現実を直視するのが怖くて、それを避けるために生産性やタイムマネジメントにしがみついているのではないか、ということだ。

『限りある時間の使い方』より引用

自分の成長のためにタイムマネジメントを学んでいた気でいたけど、本当は現実逃避だったのでしょうか?

タイムマネジメントが振りまく「完璧な自分」という幻想にしがみついていただけだったとしたら、一体どうすればよいのでしょうか。

著者は以下のように言います。

 自分には、限界がある。その事実を直視して受け入れれば、人生はもっと生産的で、楽しいものになるはずだ。もちろん、不安が完全になくなるわけではない。限界を受け入れる能力にも限界がある。だとしても、これだけは自信を持っていえる。

 現実を直視することは、ほかの何よりも効果的な時間管理術だ。

『限りある時間の使い方』より引用

私たちは、常に現実を見てきたと思います。

現実を見てきたからこそ、効率化を図りタスクをこなそうと努力してきたのではないのでしょうか。

それなのに、現実を直視して受け入れるって一体どういうこと?

そんな疑問に著者はこう答えます。

限界を受け入れるというのは、つまり「何もかもはできない」を認めることだ

『限りある時間の使い方』より引用

「何もかもはできない」を認める。

確かに私たちは、タイムマネジメントが上手くできれば、目の前にあるすべてをこなせると思いがちです。

「すべてできるはず」という意識が強すぎると、「何を優先すべきか」という問いに向き合わなくなるそうです。

確かにそうですよね。

全てできると思っているから、特に選ぶことなく目の前のタスクをコツコツこなそうとします。

しかし、コツコツこなしてもタスクはなくなりません。

そればかりか、さらにタスクが追加され、重要なタスクにたどり着くことなく1日が終わることもしばしば。

だからこそ、効率化を図ろうと必死になるのですが、時間はけっして余りません。

それは効率化の罠だと著者は指摘します。

すべてを効率的にこなそうとするのではなく、すべてをこなそうという誘惑に打ち勝つことが必要だったのだ。

『限りある時間の使い方』より引用

decide(決める)の語源となったラテン語のdecidereには、何かを“切り離す”という意味があるそうです。

私たちは有限であるからこそ、何かを諦め犠牲にし、自分にとって大事なものを選び取る必要があるのですね。

当書では「タスクを上手に減らす3つの原則」が紹介されています。

  1. まず自分の取り分をとっておく:時間は絶対に余らない。本当にやりたいことは、今すぐにやる。
  2. 「進行中」の仕事を制限する:同時進行の仕事を3つに絞る。1つ完了するまで他の仕事はやらない。
  3. 優先度「中」を捨てる:適度に魅力的な選択肢こそが危険。優先度「大」の時間を侵食される可能性大。

 自分の無力さを認めて、不可能を可能にしようとする無駄な試みを放棄したとき、人は実際に可能なことに取り組むことができる。

『限りある時間の使い方』より引用

自分が時間に対してあまりにも無力である事実を認めたくない気持ちが、イライラの原因だと著者は言います。

そして、そのような不安や無防備さは人間にとって当たり前の状態であり、何の問題もないと。

なぜなら僕たち自身が、時間だからだ。

自分が時間そのものだとしたら、時間の上に立とうとか、支配しようという考えは意味をなさない。

『限りある時間の使い方』より引用

そして、「時間を手なづける」という願いが叶うことは決してないと著者は言います。

どんなに頑張っても、全てを計画通りに成し遂げることは不可能であると。

やるべきことが終わって、何の心配もなく、意味のある時間を過ごすことができる

そんな時間は永遠に訪れないのです。

だからこそ、幻想を捨て、現実を受け入れるのです。

そんなつらい現実を受け入れて、何の得があるのかって?

ここにいることができる。

人生の本番を生きられる。限られた時間を、本当に大事なことをして過ごせる。今この瞬間に集中できる。

『限りある時間の使い方』より引用

痛みが必然であることを受け入れ、自分に与えられた時間をそのまま味わう。

これこそが、時間に苦しめられない方法と言えるのでしょう。

自分が楽しいと思えることが最善の時間の使い方

限りある時間の使い方

著者は最終章で「人生を生き始めるための5つの質問」を提案しています。

  1. 生活や仕事のなかで、ちょっとした不快に耐えるのがいやで、楽なほうに逃げている部分はないか?
  2. 達成不可能なほど高い基準で自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?
  3. ありのままの自分ではなく「あるべき自分」に縛られているのは、どんな部分だろう?
  4. まだ自信がないからと、尻込みしている分野は何か?
  5. もしも行動の結果を気にしなくてよかったら、どんなふうに日々を過ごしたいか?

そして、そのそれぞれに補足説明や具体例が紹介されています。

なんだかドキリとする質問ばかりですよね。

なかでも、①の補足にあった以下の一言が私にとって最も印象的でした。

この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?

『限りある時間の使い方』より引用

“小さく”とは、魂がしなびることで、“大きく”とは、人間的成長につながることだそうです。

限られた時間を魂がしなびるようなことには使いたくないですよね。

自分に与えられた時間を存分に味わいながら、自分の意思で選択し手放していく。

モノの断捨離がはやりましたが、時間に対してもその考え方が応用できそうな気がします。

限られた時間を生きているという意識を忘れずに、大切な人と過ごす時間を優先して今を生きていきたいです。

今回ご紹介した書籍が、時間に悩まされている方のお役に少しでも立てれば幸いです。

それでは、また。

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